No.4, No.3, No.2[3件]
森の魔女の館-ある魔族と魔女の契り
森に佇む魔女の館。
魔女は魔を高める為に男と交わる。
ハーフサキュバスであるミモザもまた、男の精を求めるが……
娼館ものの小さなオリジナルNL短編です。
その館は、魔力の染み出した森の奥深くにあった。
森の緑に呑まれるかのような古い洋館。
静かに佇むそこから聞こえるのは魔女たちの声。
声の主を確かめようにも、日のあるうちはその望みを叶えることは出来ない。
館を守る結界が壁となり、正面の扉すら開くことが叶わない。
日が南中を過ぎ、西の地平線に差し掛かる頃、館に変化が起きる。
門の部分を守護する結界が解かれ、館の部屋に紅い光が灯る。
その光に惹かれるかのように、あらゆる雄が館へと進む。
ここは、森の魔女の館。
身体を求める雄と魔女が交わる場所。
館に入ると一本の道が中庭へと繋がっている。
道の両端には街灯があり、そこから紅い光が漏れている。
紅い光の道を抜け、中庭に出るとそこは娼館の真っ只中である。
中央にそびえ立つ大きな楓の木。
その木を取り囲むかのように多くの紅い光を灯した部屋が現れる。
部屋に続く扉の横には大きな窓があり、そこには魔女たちの姿があった。
胸元と恥部を晒したロングドレスを纏った彼女らは、窓辺で雄を待つ。
ある魔女は惜しげも無く恥部を見せつけ、またある魔女は静かに窓辺に座り、微笑みを見せる。
好みの魔女を見つけた雄は扉を叩き、魔女は扉を開けて雄を迎え入れる。
そして部屋にあるベッドへと誘い、一晩の契りを結ぶのである。
×××
この館に居る魔女は雄に抱かれることを望んでいる。
外部から来た娼婦ではなく、この館で生まれ、この館で育った者たちである。
彼女らは雄に抱かれることで外部の血と遺伝子を取り込み、新たな子を宿すのである。
生まれた赤子が雄の場合は父となる雄に託すかその手でくびり殺し、雌の場合は魔女として育てる。
魔女は初経を迎えてから死ぬまで多くの雄と交わり、娘たちは大半が「竿違いの姉妹」となる。
そのために容姿も性格も姉妹でありながら大きく変わるものである。
もちろん、性癖やテクニックも。
「ふぐぁぁ、っ!」
情けない悲鳴と共に、私の口と顔に精液が飛び散った。
一瞬何が起こったのか私も分からなくなり、目をぱちくりさせてしまう。
「ぐぁぁぁ!俺の雄々しい武器が!」
今宵の雄…立派な甲冑の大男の叫びに我に返り、私は声の主を見た。
「勃て、勃つんだ!まだミモザちゃんの中を味わってねえ!」
先程まで私…ミモザの口を埋めるかの如く犯していた大男の肉茎。
それが情けないほどに小さくなり、縮こまっている。
「精力剤も絶倫魔術も喰らっただろがくそおお!」
半泣きの大男の下肢に抱きつき、その小さくなった肉茎にキスをする。
しかし肉茎は雄の反応を示さず、くたりとしたままだった。
「すまねえミモザちゃん…今宵は帰るわ」
「分かりましたわ…また、いらしてくださいね」
肩を落とした大男に私は微笑み、汚れを拭き取り彼の身支度を手伝う。
そして大男を見送り、ベッドに仰向けに横たわった。
ぷるんと大男の精液に濡れた胸が揺れる。
「本日三人目…始めてから…計測不能。また、中出しじゃなかった」
これで通算何人目だろう、と溜息をついてしまう。
「今夜はここで打ち止めね。身体を洗って寝ましょう。そうしましょう」
扉に鍵をかけ、部屋の明かりを落とし、ドレスを脱ぎ捨てて風呂場へと向かう。
洗面台で白百合の髪飾りを外し、私は再び溜息をついた。
白百合の髪飾り。
それはこの館において処女のみが身につける装身具。
破瓜を遂行した最初の雄にのみ、この髪飾りを捧げることができる。
この髪飾りを渡した相手を私たちは特別な客人として招き入れられるのだ。
私はこの髪飾りを雄に捧げる日が来るのだろうか。
「血筋って濃いと厳しいね、ミモザ」
洗面台の鏡に向かって私は苦笑いを浮かべた。
私の父はインキュバスだと母が教えてくれた。
テクニシャンな母が初めて許しを乞うまで突かれまくった絶倫だったと聞く。
つまり、私は半分サキュバスであり、母や祖母の代から続く魔女の血も混ざり合っているのだ。
ある意味ハイブリッドな存在だけど、それは嬉しいものではなかった。
サキュバスとしての血が雄の精液を吸い付くしてしまうのだ。
この口で、この胸で、この手で絶頂を迎えた肉茎は勃起を忘れたかのように大人しくなってしまう。
私の処女肉を割く前に、縮こまってしまう。
処女を奪われる事が無いが、テクニックだけが磨かれてゆく。
このままじゃずっと、姉妹たちや雄たちに「床上手な処女」と呼ばれ続けてしまう。
シャワーを浴びて身を清め、部屋に戻ってそのままベッドに潜り込む。
先程まで部屋にいた大男の精の匂いがする。
「いつかはこのベッドで…抱いてくれた相手と一緒に眠りたい、な……」
小さく呟き、私は眠りについた。
XXX
「あの、あのですね…拙者はここに来るのもこういうこともハジメテでござるからして…処女の純潔を貰いに来たでフォカヌポウ」
妙にテンパっている触手を目の前に、私、ミモザは緩やかな笑みを浮かべた。
ここは森の魔女の館。
子孫繁栄と館の維持のために魔女が雄と交わる娼館。
目の前で粘液を滴らせ、桃色の身体を真っ赤にしているのは今宵の客である雄の触手だ。
子孫が得られるのならば、魔女は種族を選ばない。
生殖機能があれば一夜の苗床にもなれるのである。
生まれた娘の中にはそう言った父親の遺伝子を継いだ者も多くはない。
そういった魔女に惹かれる雄がいて、また交わる。
需要と供給は上手く行くものなのだ。
「ご指名ありがとう。でも、私でも良かったのかしら」
「あああ貴女は処女の証を持っていてそれでその、び、美乳でござるからして…」
「あら、それは嬉しいわ。スる前にお茶でも如何?」
「かたじけない!」
媚薬入りのハーブティーを渡すと、触手は器用にカップを持ち、捕食用の口へ運んでいく。
この触手なら、私の処女を奪ってくれるかも知れない。
見たところ繁殖用の触手は3本。
だけど童貞らしいから、まずは気持ち良くさせなくちゃ。
「ミモザ殿?」
「緊張しているの?ちゃんと沢山欲しいから、ほぐしてあげるわよ」
そう言って私はドレスの裾をまくり、露わな股間を触手の根元に押し付けた。
「ふぉぉぉぉ!魔女の処女肉が!触手の上に!」
ドピュ
それだけで乗っかった触手の先端は精液を吐き出した。
「あら、結構ウブなのね。ならこっちは優しくしてあげるわ」
残り二本の繁殖用触手を軽く握り、私は愛撫を始めた。
テラテラと汁を流す先端に口付け、優しく咥え込む。
余った方の触手は手で擦り、時には指で先端を弄る。
「んっ、う…」
ペチャ、ジル、クチュウ……
「ふぁおおぉ…ミモザ殿ぉ……気持ちいいでござるぅぅ」
繁殖用以外の触手をのたうちさせながら、雄触手はされるがまま。
以前窓越しに他の魔女が触手の苗床になったのを見たが、その光景とは大違いだ。
あの時の彼女は四肢を拘束され、そのたわわな胸や太腿を触手によって締め上げられていた。
肉壺には無数の繁殖用触手が突き込まれ、中を蹂躙されながら子宮の奥まで精液を受けていた。
その後彼女は髪が触手の娘を出産。
もうすぐ私みたいに処女の証である白百合の髪飾りをつけてデビューする。
それに比べてこの触手は。
「あひぁぁぁぁ!拙者はもうらめぇでござ…うひぅぁあうううふぉえー!」
ゴプ
ドビュ
愛撫だけで、果てた。
「いやはや…触手として情けないでござる…本来ならエ=ロ異本……いや父のように貴女を締め上げて苗床にしたかったのでござるが…思うのと実行するのとでは気合がその…フォカヌポウ」
からからに絞られた繁殖用触手を振り、悲しげな声をあげる童貞触手。
私はそっと彼を抱きしめて「また来てね」と返して送り出した。
今宵もまた、私の処女は貫かれなかった。
前戯はナシにした方がいいのだろうか。
「うまく行かないものね……」
汚れたシーツとドレスを取り替え、私は再び紅い光が灯る窓辺に立った。
XXX
その魔族の男が館に来たのは気紛れであった。
気紛れに発散出来る場所を仲間に聞き、仲間からこの館の在り処を知ったのだ。
彼、ルカ・ムーンフェザーは魔族の中でも貴族階級の男である。
このような娼館に立ち寄らずとも命ずれば性欲の発散など容易に出来る筈である。
しかし、ルカはあえてここに来た。
彼は堅苦しい貴族の世界よりも、俗世を愛していた。
「いらっしゃい魔族の旦那様。貴方のような高貴で崇高な魔力の持ち主が来られるとは」
紅い光の道を抜け、中庭に出ると一人の老婆がニヤリと笑い跪いた。
「こりゃまた大層な扱いで」
「強い魔力を持った方は特別扱いでございますよ」
「なるほどね。欲しいのは俺ではなく、俺の魔力かい」
「さようでございます」
この館に住まう魔女達はこの地を離れられない。
自らの魔力を館の中庭に座する楓の木に捧げ、外敵から身を守る結界を張り続けるのが定め。
結界の強化には強く、新しい魔力を持った魔女が居なくてはならない。
そこで魔女たちは自らの躰を捧げ、外界の雄と交わり、雄と混ざり合った魔力を持った子を産むのである。
「この館には様々な魔女がおります。美しきヒトガタもいれば、半獣、半魔の者もいる。幼き生娘もいれば、私のような魅惑的な老婆もおりますゆえ」
ルカが中庭を見渡すと、赤い光の溢れる窓から多くの魔女が彼を見つめていた。
「誰もが皆、俺の魔力を欲してる、ね」
魔女の瞳の奥に宿る野望の色をルカは感知し、ヘラヘラと笑う。
と、そこに別の視線が混じるのをルカは感じた。
中庭の隅の窓から一人の魔女が彼を見つめていた。
「ばあちゃん。あの娘にするわ」
そうルカが言うと老婆はケラケラと笑った。
「旦那様は飛んだ酔狂者でございましたか。あの床上手な処女を選ばれるとは」
「床上手な処女?」
「インキュバスの血を引いてしまったが為に前戯だけで相手を枯らせてしまう娘。お陰であの肉壺はまだ処女という魔女の恥さらし。あの娘よりも良い肉壺の娘はおりますよ」
「いんや、あの娘でいい」
ルカの金色の瞳が床上手の処女と揶揄された魔女を射抜く。
「魔力だけで俺を選ぼうとする娘たちとは大違いだ」
「こんばんは。旦那様。今宵の夜伽を務めます、ミモザと申します」
奥まった部屋に入るなり、ミモザと名乗った紫髪の魔女がルカに跪いた。
「あー、そんな堅苦しいのナシ。ここまで来て旦那様扱いは苦しすぎるわ。ルカでいい」
「はい、ルカ…さん」
「よろしくな、ミモザちゃん」
差し出されたミモザの手を取り、ルカは部屋の中にあるソファーに招かれる。
「あの…一緒にいらしたお婆様も仰ってたと思うのですけど、私で良かったのでしょうか」
暖かな薬草茶を手に戻ってきたミモザがおずおずとルカに問う。
「旦那様…いえ、ルカさんのような素敵な魔力の持ち主なら、もっと見合う方がおりますのに」
「ミモザちゃん、俺はな…上辺の強さだけで男を見定める女は好きじゃないんだわ」
ルカは笑ってミモザの頭を撫でる。
「アンタだけが俺を普通の客人として見てくれた。だから選んだ」
そっと薬草茶に口をつけ、そのままルカはミモザに口付ける。
「枯らしても構わねえ。俺のコレを満足させてくれ」
耳元で囁き、ミモザのほんのりと垂れた耳を軽く噛む。
「はい。ご奉仕致します」
安堵の息をついたミモザは微笑み、ルカの服に手を掛けた。
「ん、んゅ、ふ…」
手際良く服の合わせを解きながらミモザの唇がルカの肌に触れる。
しっとりとした手で触れた場所を唇と舌が追う。
下肢の合わせを解き、むき出しになったルカの肉茎を取り出すと、ミモザは恍惚な表情でそれを口に含んだ。
口の中の空気を無くし、舌で震える亀頭を舐め、唇で甘く包み込む。
その表情や見たルカは自分の肉茎を咥えて離さない魔女が夢魔の血筋だと確信した。
自分や仲間の屋敷に仕える使用人にも夢魔がいる。
その使用人に欲望を吐き出す様をルカは何度も見てきた。
その時の夢魔にミモザはよく似ていたのだ。
「ん、ふぅ、ルカさん…大きい」
硬さを増す肉茎の竿をミモザは剥き出しになった乳房で挟む。
そのまま顔や胸元がベトベトになるのも構わず、ミモザは奉仕を続けた。
やがて、ミモザの肉に包まれたルカは震え、一気に達す。
びゅるり、と溢れ出た精液がミモザの口に流れ込み、ミモザはそれを飲み干した。
「っあ、流石だな…ハーフサキュバスの魔女は」
ルカの声にミモザは瞳を閉じる。
この男の雄も吸いきったであろう自分を見て居られなかった。
ところが。
「まだイけそうだけど、本番もアリかい?」
意外な言葉にミモザは瞳を開けた。
目の前のルカの肉茎は縮むどころか先程とほぼ同じ大きさでミモザの目の前に鎮座している。
「私…私……実はここから先は…」
あわあわとしたミモザにルカは口付けた。
「大丈夫。俺も実はな…ちゃんと女を喰うのは初めてだ。だからぎこちないかもどけど…最後までシたい」
互いに初めてなら怖くない。
その言葉にルカとミモザは互いに頷いた。
ベッドに横たわるミモザにルカが覆いかぶさった。
館に住まう魔女のドレスは雄を受け入れやすくする為の形状になっている。
剥き出しになった乳房、左右に広げれば舞台の幕のように下肢を晒せるドレススカート。
張りの良いミモザの乳房や乳首をルカが吸う。
「はっ、っあぁ…あん」
「いい反応だ。こういう男からの愛撫は初めてかい?」
その問いにミモザがこくこくと首を縦に振る。
実際ここまで到達したのはルカが初めてだ。
未知なる刺激にミモザは甘い喘ぎを漏らす。
「なるほど。こんな風にぐしょぐしょになるのか…」
ドレススカートを左右に捲り上げ、内股を撫で、脚を開かせ、ルカが呟く。
毛を剃り落とし、ツルツルとしたミモザの肉壺。
そこに指を這わせるとぬちゅ、と音がした。
試しに指を一本入れるとミモザがきゃ、と啼いて指をくちゅうと締め付けた。
「おお…おお…」
濡れた膣の締め付けにルカは感動を覚え、くちゅりと指を動かす。
くちゅり、くちゅうと繰り返す感覚にもう一本指を差し込み、その感覚をルカは楽しんだ。
やがて中を遊ぶ指に泡立った愛液が絡みついたのを確認すると、ルカは指を引き抜き、再び屹立した自分の肉茎をミモザの肉壺に押し当てた。
「慣れてないから乱暴したら、ごめんな」
その言葉と同時にルカの肉茎がミモザの肉壺にずるりと入り込んだ。
「っあぁ!あっ…あ…!」
男を知らぬ膣をルカの肉茎がかき分けてゆく。
自分のものではない肉の感覚、広げ、伸ばし、膜がぷつりと弾ける感覚。
未知の熱にミモザは甘い悲鳴をあげた。
「っあ…も、ちょい…な」
掻き分けるルカの肉茎がコツンとミモザの子宮口を叩く。
「ここまでか」と呟いたルカにミモザは抱きついた。
「辛くなかったら、動くぞ」
「大丈夫です…ルカさんので…満たして下さい」
ミモザの答えにルカは頷き、優しく腰を揺らす。
じゅぷり、ぎちゅり、と結合部から蜜の音が響く。
その音にルカの肉茎は更に硬く膨れ、ミモザの肉壺をぎちっと広げてゆく。
ミモザの膣はルカの肉茎を締め付け、もっと飲み込まんばかりに奥に誘う。
「っふ、ふぁ、ルカ、さ…」
痛みを超えてぞくりと生まれてきた快感にミモザの意識が押し流されそうになる。
私は娼婦の魔女である、今は夜伽の真っ最中である。
そう自分に言い聞かせようとした瞬間、ルカの肉茎が強くミモザを突いた。
「ひぅ、あぁん!」
ミモザは叫声をあげ、ルカの背に手を回す。
その姿は娼婦の姿ではなく、一人の女として男に抱かれる姿だった。
激しくなる律動にルカが荒い息をつく。
互いに混じる息と声。
ぐちゅぐちゅと泡立った粘膜の音を立てる結合部。
やがてルカがぶるりと震えると、ミモザの子宮に届かんばかりの精液を放った。
「ルカさん。お目覚めになりましたか?」
ルカが目覚めるとそこには微笑むミモザの顔があった。
「もしかして俺、寝ちまったのか」
「はい。達して私に放ってからぐっすりと」
「恥ずかしくないかそれ?」
「いいえ。初めてならば仕方ない事だと思いますよ?」
支度をする、と起き上がったルカをミモザが呼び止め、自分の頭に飾られた白百合の髪飾りを外して差し出した。
「この髪飾りは処女膜を破った殿方のみに捧げられる証。処女を捧げた相手を一番大切に思う魔女の意思の結晶です。これを持ってまたこの館に来れば、私は貴方の為に最高級のもてなしをしましょう」
「ミモザ優先権か。それは頂いておこう」
ルカは笑って髪飾りを受け取り、胸元に飾る。
「あと、もう一つだけ宜しいでしょうか?」
「何だい?」
「これはこの館と、私との契約です」
朝の光の差し込む中、ミモザは契約を伝え、ルカはそれを承知した。
館の中庭に出たルカを、ルカの胸に飾られたミモザの髪飾りを見た魔女たちは驚いた。
ルカはミモザに手を振り、颯爽と館を後にした。
END畳む
#小説 #NL #異種姦 #創作
森に佇む魔女の館。
魔女は魔を高める為に男と交わる。
ハーフサキュバスであるミモザもまた、男の精を求めるが……
娼館ものの小さなオリジナルNL短編です。
その館は、魔力の染み出した森の奥深くにあった。
森の緑に呑まれるかのような古い洋館。
静かに佇むそこから聞こえるのは魔女たちの声。
声の主を確かめようにも、日のあるうちはその望みを叶えることは出来ない。
館を守る結界が壁となり、正面の扉すら開くことが叶わない。
日が南中を過ぎ、西の地平線に差し掛かる頃、館に変化が起きる。
門の部分を守護する結界が解かれ、館の部屋に紅い光が灯る。
その光に惹かれるかのように、あらゆる雄が館へと進む。
ここは、森の魔女の館。
身体を求める雄と魔女が交わる場所。
館に入ると一本の道が中庭へと繋がっている。
道の両端には街灯があり、そこから紅い光が漏れている。
紅い光の道を抜け、中庭に出るとそこは娼館の真っ只中である。
中央にそびえ立つ大きな楓の木。
その木を取り囲むかのように多くの紅い光を灯した部屋が現れる。
部屋に続く扉の横には大きな窓があり、そこには魔女たちの姿があった。
胸元と恥部を晒したロングドレスを纏った彼女らは、窓辺で雄を待つ。
ある魔女は惜しげも無く恥部を見せつけ、またある魔女は静かに窓辺に座り、微笑みを見せる。
好みの魔女を見つけた雄は扉を叩き、魔女は扉を開けて雄を迎え入れる。
そして部屋にあるベッドへと誘い、一晩の契りを結ぶのである。
×××
この館に居る魔女は雄に抱かれることを望んでいる。
外部から来た娼婦ではなく、この館で生まれ、この館で育った者たちである。
彼女らは雄に抱かれることで外部の血と遺伝子を取り込み、新たな子を宿すのである。
生まれた赤子が雄の場合は父となる雄に託すかその手でくびり殺し、雌の場合は魔女として育てる。
魔女は初経を迎えてから死ぬまで多くの雄と交わり、娘たちは大半が「竿違いの姉妹」となる。
そのために容姿も性格も姉妹でありながら大きく変わるものである。
もちろん、性癖やテクニックも。
「ふぐぁぁ、っ!」
情けない悲鳴と共に、私の口と顔に精液が飛び散った。
一瞬何が起こったのか私も分からなくなり、目をぱちくりさせてしまう。
「ぐぁぁぁ!俺の雄々しい武器が!」
今宵の雄…立派な甲冑の大男の叫びに我に返り、私は声の主を見た。
「勃て、勃つんだ!まだミモザちゃんの中を味わってねえ!」
先程まで私…ミモザの口を埋めるかの如く犯していた大男の肉茎。
それが情けないほどに小さくなり、縮こまっている。
「精力剤も絶倫魔術も喰らっただろがくそおお!」
半泣きの大男の下肢に抱きつき、その小さくなった肉茎にキスをする。
しかし肉茎は雄の反応を示さず、くたりとしたままだった。
「すまねえミモザちゃん…今宵は帰るわ」
「分かりましたわ…また、いらしてくださいね」
肩を落とした大男に私は微笑み、汚れを拭き取り彼の身支度を手伝う。
そして大男を見送り、ベッドに仰向けに横たわった。
ぷるんと大男の精液に濡れた胸が揺れる。
「本日三人目…始めてから…計測不能。また、中出しじゃなかった」
これで通算何人目だろう、と溜息をついてしまう。
「今夜はここで打ち止めね。身体を洗って寝ましょう。そうしましょう」
扉に鍵をかけ、部屋の明かりを落とし、ドレスを脱ぎ捨てて風呂場へと向かう。
洗面台で白百合の髪飾りを外し、私は再び溜息をついた。
白百合の髪飾り。
それはこの館において処女のみが身につける装身具。
破瓜を遂行した最初の雄にのみ、この髪飾りを捧げることができる。
この髪飾りを渡した相手を私たちは特別な客人として招き入れられるのだ。
私はこの髪飾りを雄に捧げる日が来るのだろうか。
「血筋って濃いと厳しいね、ミモザ」
洗面台の鏡に向かって私は苦笑いを浮かべた。
私の父はインキュバスだと母が教えてくれた。
テクニシャンな母が初めて許しを乞うまで突かれまくった絶倫だったと聞く。
つまり、私は半分サキュバスであり、母や祖母の代から続く魔女の血も混ざり合っているのだ。
ある意味ハイブリッドな存在だけど、それは嬉しいものではなかった。
サキュバスとしての血が雄の精液を吸い付くしてしまうのだ。
この口で、この胸で、この手で絶頂を迎えた肉茎は勃起を忘れたかのように大人しくなってしまう。
私の処女肉を割く前に、縮こまってしまう。
処女を奪われる事が無いが、テクニックだけが磨かれてゆく。
このままじゃずっと、姉妹たちや雄たちに「床上手な処女」と呼ばれ続けてしまう。
シャワーを浴びて身を清め、部屋に戻ってそのままベッドに潜り込む。
先程まで部屋にいた大男の精の匂いがする。
「いつかはこのベッドで…抱いてくれた相手と一緒に眠りたい、な……」
小さく呟き、私は眠りについた。
XXX
「あの、あのですね…拙者はここに来るのもこういうこともハジメテでござるからして…処女の純潔を貰いに来たでフォカヌポウ」
妙にテンパっている触手を目の前に、私、ミモザは緩やかな笑みを浮かべた。
ここは森の魔女の館。
子孫繁栄と館の維持のために魔女が雄と交わる娼館。
目の前で粘液を滴らせ、桃色の身体を真っ赤にしているのは今宵の客である雄の触手だ。
子孫が得られるのならば、魔女は種族を選ばない。
生殖機能があれば一夜の苗床にもなれるのである。
生まれた娘の中にはそう言った父親の遺伝子を継いだ者も多くはない。
そういった魔女に惹かれる雄がいて、また交わる。
需要と供給は上手く行くものなのだ。
「ご指名ありがとう。でも、私でも良かったのかしら」
「あああ貴女は処女の証を持っていてそれでその、び、美乳でござるからして…」
「あら、それは嬉しいわ。スる前にお茶でも如何?」
「かたじけない!」
媚薬入りのハーブティーを渡すと、触手は器用にカップを持ち、捕食用の口へ運んでいく。
この触手なら、私の処女を奪ってくれるかも知れない。
見たところ繁殖用の触手は3本。
だけど童貞らしいから、まずは気持ち良くさせなくちゃ。
「ミモザ殿?」
「緊張しているの?ちゃんと沢山欲しいから、ほぐしてあげるわよ」
そう言って私はドレスの裾をまくり、露わな股間を触手の根元に押し付けた。
「ふぉぉぉぉ!魔女の処女肉が!触手の上に!」
ドピュ
それだけで乗っかった触手の先端は精液を吐き出した。
「あら、結構ウブなのね。ならこっちは優しくしてあげるわ」
残り二本の繁殖用触手を軽く握り、私は愛撫を始めた。
テラテラと汁を流す先端に口付け、優しく咥え込む。
余った方の触手は手で擦り、時には指で先端を弄る。
「んっ、う…」
ペチャ、ジル、クチュウ……
「ふぁおおぉ…ミモザ殿ぉ……気持ちいいでござるぅぅ」
繁殖用以外の触手をのたうちさせながら、雄触手はされるがまま。
以前窓越しに他の魔女が触手の苗床になったのを見たが、その光景とは大違いだ。
あの時の彼女は四肢を拘束され、そのたわわな胸や太腿を触手によって締め上げられていた。
肉壺には無数の繁殖用触手が突き込まれ、中を蹂躙されながら子宮の奥まで精液を受けていた。
その後彼女は髪が触手の娘を出産。
もうすぐ私みたいに処女の証である白百合の髪飾りをつけてデビューする。
それに比べてこの触手は。
「あひぁぁぁぁ!拙者はもうらめぇでござ…うひぅぁあうううふぉえー!」
ゴプ
ドビュ
愛撫だけで、果てた。
「いやはや…触手として情けないでござる…本来ならエ=ロ異本……いや父のように貴女を締め上げて苗床にしたかったのでござるが…思うのと実行するのとでは気合がその…フォカヌポウ」
からからに絞られた繁殖用触手を振り、悲しげな声をあげる童貞触手。
私はそっと彼を抱きしめて「また来てね」と返して送り出した。
今宵もまた、私の処女は貫かれなかった。
前戯はナシにした方がいいのだろうか。
「うまく行かないものね……」
汚れたシーツとドレスを取り替え、私は再び紅い光が灯る窓辺に立った。
XXX
その魔族の男が館に来たのは気紛れであった。
気紛れに発散出来る場所を仲間に聞き、仲間からこの館の在り処を知ったのだ。
彼、ルカ・ムーンフェザーは魔族の中でも貴族階級の男である。
このような娼館に立ち寄らずとも命ずれば性欲の発散など容易に出来る筈である。
しかし、ルカはあえてここに来た。
彼は堅苦しい貴族の世界よりも、俗世を愛していた。
「いらっしゃい魔族の旦那様。貴方のような高貴で崇高な魔力の持ち主が来られるとは」
紅い光の道を抜け、中庭に出ると一人の老婆がニヤリと笑い跪いた。
「こりゃまた大層な扱いで」
「強い魔力を持った方は特別扱いでございますよ」
「なるほどね。欲しいのは俺ではなく、俺の魔力かい」
「さようでございます」
この館に住まう魔女達はこの地を離れられない。
自らの魔力を館の中庭に座する楓の木に捧げ、外敵から身を守る結界を張り続けるのが定め。
結界の強化には強く、新しい魔力を持った魔女が居なくてはならない。
そこで魔女たちは自らの躰を捧げ、外界の雄と交わり、雄と混ざり合った魔力を持った子を産むのである。
「この館には様々な魔女がおります。美しきヒトガタもいれば、半獣、半魔の者もいる。幼き生娘もいれば、私のような魅惑的な老婆もおりますゆえ」
ルカが中庭を見渡すと、赤い光の溢れる窓から多くの魔女が彼を見つめていた。
「誰もが皆、俺の魔力を欲してる、ね」
魔女の瞳の奥に宿る野望の色をルカは感知し、ヘラヘラと笑う。
と、そこに別の視線が混じるのをルカは感じた。
中庭の隅の窓から一人の魔女が彼を見つめていた。
「ばあちゃん。あの娘にするわ」
そうルカが言うと老婆はケラケラと笑った。
「旦那様は飛んだ酔狂者でございましたか。あの床上手な処女を選ばれるとは」
「床上手な処女?」
「インキュバスの血を引いてしまったが為に前戯だけで相手を枯らせてしまう娘。お陰であの肉壺はまだ処女という魔女の恥さらし。あの娘よりも良い肉壺の娘はおりますよ」
「いんや、あの娘でいい」
ルカの金色の瞳が床上手の処女と揶揄された魔女を射抜く。
「魔力だけで俺を選ぼうとする娘たちとは大違いだ」
「こんばんは。旦那様。今宵の夜伽を務めます、ミモザと申します」
奥まった部屋に入るなり、ミモザと名乗った紫髪の魔女がルカに跪いた。
「あー、そんな堅苦しいのナシ。ここまで来て旦那様扱いは苦しすぎるわ。ルカでいい」
「はい、ルカ…さん」
「よろしくな、ミモザちゃん」
差し出されたミモザの手を取り、ルカは部屋の中にあるソファーに招かれる。
「あの…一緒にいらしたお婆様も仰ってたと思うのですけど、私で良かったのでしょうか」
暖かな薬草茶を手に戻ってきたミモザがおずおずとルカに問う。
「旦那様…いえ、ルカさんのような素敵な魔力の持ち主なら、もっと見合う方がおりますのに」
「ミモザちゃん、俺はな…上辺の強さだけで男を見定める女は好きじゃないんだわ」
ルカは笑ってミモザの頭を撫でる。
「アンタだけが俺を普通の客人として見てくれた。だから選んだ」
そっと薬草茶に口をつけ、そのままルカはミモザに口付ける。
「枯らしても構わねえ。俺のコレを満足させてくれ」
耳元で囁き、ミモザのほんのりと垂れた耳を軽く噛む。
「はい。ご奉仕致します」
安堵の息をついたミモザは微笑み、ルカの服に手を掛けた。
「ん、んゅ、ふ…」
手際良く服の合わせを解きながらミモザの唇がルカの肌に触れる。
しっとりとした手で触れた場所を唇と舌が追う。
下肢の合わせを解き、むき出しになったルカの肉茎を取り出すと、ミモザは恍惚な表情でそれを口に含んだ。
口の中の空気を無くし、舌で震える亀頭を舐め、唇で甘く包み込む。
その表情や見たルカは自分の肉茎を咥えて離さない魔女が夢魔の血筋だと確信した。
自分や仲間の屋敷に仕える使用人にも夢魔がいる。
その使用人に欲望を吐き出す様をルカは何度も見てきた。
その時の夢魔にミモザはよく似ていたのだ。
「ん、ふぅ、ルカさん…大きい」
硬さを増す肉茎の竿をミモザは剥き出しになった乳房で挟む。
そのまま顔や胸元がベトベトになるのも構わず、ミモザは奉仕を続けた。
やがて、ミモザの肉に包まれたルカは震え、一気に達す。
びゅるり、と溢れ出た精液がミモザの口に流れ込み、ミモザはそれを飲み干した。
「っあ、流石だな…ハーフサキュバスの魔女は」
ルカの声にミモザは瞳を閉じる。
この男の雄も吸いきったであろう自分を見て居られなかった。
ところが。
「まだイけそうだけど、本番もアリかい?」
意外な言葉にミモザは瞳を開けた。
目の前のルカの肉茎は縮むどころか先程とほぼ同じ大きさでミモザの目の前に鎮座している。
「私…私……実はここから先は…」
あわあわとしたミモザにルカは口付けた。
「大丈夫。俺も実はな…ちゃんと女を喰うのは初めてだ。だからぎこちないかもどけど…最後までシたい」
互いに初めてなら怖くない。
その言葉にルカとミモザは互いに頷いた。
ベッドに横たわるミモザにルカが覆いかぶさった。
館に住まう魔女のドレスは雄を受け入れやすくする為の形状になっている。
剥き出しになった乳房、左右に広げれば舞台の幕のように下肢を晒せるドレススカート。
張りの良いミモザの乳房や乳首をルカが吸う。
「はっ、っあぁ…あん」
「いい反応だ。こういう男からの愛撫は初めてかい?」
その問いにミモザがこくこくと首を縦に振る。
実際ここまで到達したのはルカが初めてだ。
未知なる刺激にミモザは甘い喘ぎを漏らす。
「なるほど。こんな風にぐしょぐしょになるのか…」
ドレススカートを左右に捲り上げ、内股を撫で、脚を開かせ、ルカが呟く。
毛を剃り落とし、ツルツルとしたミモザの肉壺。
そこに指を這わせるとぬちゅ、と音がした。
試しに指を一本入れるとミモザがきゃ、と啼いて指をくちゅうと締め付けた。
「おお…おお…」
濡れた膣の締め付けにルカは感動を覚え、くちゅりと指を動かす。
くちゅり、くちゅうと繰り返す感覚にもう一本指を差し込み、その感覚をルカは楽しんだ。
やがて中を遊ぶ指に泡立った愛液が絡みついたのを確認すると、ルカは指を引き抜き、再び屹立した自分の肉茎をミモザの肉壺に押し当てた。
「慣れてないから乱暴したら、ごめんな」
その言葉と同時にルカの肉茎がミモザの肉壺にずるりと入り込んだ。
「っあぁ!あっ…あ…!」
男を知らぬ膣をルカの肉茎がかき分けてゆく。
自分のものではない肉の感覚、広げ、伸ばし、膜がぷつりと弾ける感覚。
未知の熱にミモザは甘い悲鳴をあげた。
「っあ…も、ちょい…な」
掻き分けるルカの肉茎がコツンとミモザの子宮口を叩く。
「ここまでか」と呟いたルカにミモザは抱きついた。
「辛くなかったら、動くぞ」
「大丈夫です…ルカさんので…満たして下さい」
ミモザの答えにルカは頷き、優しく腰を揺らす。
じゅぷり、ぎちゅり、と結合部から蜜の音が響く。
その音にルカの肉茎は更に硬く膨れ、ミモザの肉壺をぎちっと広げてゆく。
ミモザの膣はルカの肉茎を締め付け、もっと飲み込まんばかりに奥に誘う。
「っふ、ふぁ、ルカ、さ…」
痛みを超えてぞくりと生まれてきた快感にミモザの意識が押し流されそうになる。
私は娼婦の魔女である、今は夜伽の真っ最中である。
そう自分に言い聞かせようとした瞬間、ルカの肉茎が強くミモザを突いた。
「ひぅ、あぁん!」
ミモザは叫声をあげ、ルカの背に手を回す。
その姿は娼婦の姿ではなく、一人の女として男に抱かれる姿だった。
激しくなる律動にルカが荒い息をつく。
互いに混じる息と声。
ぐちゅぐちゅと泡立った粘膜の音を立てる結合部。
やがてルカがぶるりと震えると、ミモザの子宮に届かんばかりの精液を放った。
「ルカさん。お目覚めになりましたか?」
ルカが目覚めるとそこには微笑むミモザの顔があった。
「もしかして俺、寝ちまったのか」
「はい。達して私に放ってからぐっすりと」
「恥ずかしくないかそれ?」
「いいえ。初めてならば仕方ない事だと思いますよ?」
支度をする、と起き上がったルカをミモザが呼び止め、自分の頭に飾られた白百合の髪飾りを外して差し出した。
「この髪飾りは処女膜を破った殿方のみに捧げられる証。処女を捧げた相手を一番大切に思う魔女の意思の結晶です。これを持ってまたこの館に来れば、私は貴方の為に最高級のもてなしをしましょう」
「ミモザ優先権か。それは頂いておこう」
ルカは笑って髪飾りを受け取り、胸元に飾る。
「あと、もう一つだけ宜しいでしょうか?」
「何だい?」
「これはこの館と、私との契約です」
朝の光の差し込む中、ミモザは契約を伝え、ルカはそれを承知した。
館の中庭に出たルカを、ルカの胸に飾られたミモザの髪飾りを見た魔女たちは驚いた。
ルカはミモザに手を振り、颯爽と館を後にした。
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